2022年度日韓連帯市民講座 (全7回:2022年5月〜8月、毎週金曜日)

開催趣旨

日韓関係の危機的状況が続いています。歴史問題 をめぐる対立が常態化し、近年は日本の国際競争力 や経済的地位の指標が旧植民地の韓国や台湾に追い 抜かれたとする記事を目にするようになりました。 いわゆる「65年体制」が揺らぐニューノーマルの時代 に突入したとも言われています。

新型コロナウイルスにより相互の往来が途切れて いるなか、政治関係の対立が深まると、大衆文化や民 間交流によって持ちこたえている両国関係は破綻し かねません。日韓関係は政府や企業間の公式関係に 限らず、社会・文化の領域におけるインフォーマル な市民運動や民間交流なども日韓関係の重要な側面 なのです。

日韓の市民社会の交流は、1970年代以降、日本の 市民が韓国の民主化を支援する「日韓連帯」の掛け声 とともに、主に軍事独裁に抵抗する運動として展開 してきました。韓国の民主化後は、舞台が「反独裁民 主化」から「歴史問題」へと移ります。植民地支配下 の韓国の戦争被害者を原告とする日本での裁判闘争 を支えたのも、日本の市民たちです。

このように、奥行きと幅広さを持つ「日韓連帯」で すが、その政治的・歴史的意義は今も十分に理解さ れていません。それは、市民連帯論の枠組みが十分に 精緻化されていないことや、「日韓連帯」のさまざま な経験が積み重ねられていないことによるものです。

それでも、「日韓連帯」の経験はナショナリズムの 境界を越える可能性を秘めています。植民地時代に 端を発する諸問題への日本の市民社会の取り組みは、 どのように相互作用して国家暴力に対する越境的な 抵抗へと転化していくのでしょうか。

本講座は平和研究を基盤にしてポスト冷戦時代を 見据えた新たな日韓関係のあり方について対話を行 います。市民社会の領域から「65年体制」を乗り越え る方法を模索してみませんか。国家間関係が揺さぶ られても市民社会がそれを支え、また国家権力の暴 走時には連帯して抵抗していく——そうしたビジョ ンを見出すことを目指していきましょう。

北海道大学大学院メディア・コミュニケーション研究院
東アジアメディア研究センター長
玄 武岩